枝垂れ桜を見ると小さな頃を思い出す。
親に連れられて、てくてく歩いた買物の道。
しんどいときは、お寺の庭先で休憩しながら歩いた道。
そのお寺の近くのお屋敷に大きな大きな枝垂れ桜があった。
3月から4月にかけて、街がそわそわするころ満開になっていた桜。
買い物の荷物を持って、ちょっとした花見をさせてもらう。
子供ながらにとっても大好きな木だった。
小学生に入学すると買物にいく回数がめっきり減った。
しかし、春休みに親の買物について行った。
やっぱりそこにある立派な枝垂れ桜。
満開になると、庭先で宴会をしていた枝垂れ桜。
通りすがりに見せていただいた枝垂れ桜に、心が洗われていたのかもしれない。
その後、親と買物に行かなくなり、その道は通らなくなった。
そして、引っ越したためもう見ることがない枝垂れ桜。
枝垂れ桜をみると、小さいときにみた、あの枝垂れ桜が脳裏を霞む。