葉から芽、ハカラメ、セイロンベンケイソウ。
子宝弁慶草、コダカラベンケイソウ。
これらの植物は親のクローンがたくさんできる。
この植物の葉のフチからたくさんの子供ができるのだ。
その並んでいる姿をみると、双子や三つ子でおさまらず10以上あるではないか。
親と同じ情報を持っているけれど、生きる時間はずれている。
なんとも不思議な植物である。
昔、この植物を無性に知りたくて観察したことがある。
子宝弁慶草の葉のフチには、大量の子供が生まれてくる。
生まれた子供はしばらくすると、親の生えている鉢に落ちていくようだ。
そして、親元でそのまま根を伸ばし生きているようだ。
しばらくすると、親元ですくすく育っているのが観察できた。
親と子供もろとも鉢の土が隠れるほどに育っている。
なんとも微笑ましい。
このままグングンいくのかと思ったら、数ヶ月が過ぎたこころ、足元の子供に強弱がでている。
そして数が減っているではないか。
なんと、植物の生存競争なのか。
たくさん兄弟がいると人間界でも同じようにはいかない。
大きくなったり、賢くなったり、親とすごく仲良くなったりもろもろ。
同じにならないからおもしろい。
同じにならないからつらい。
同じにならないから、世界は広がっていく。
同じ情報を持って、同じときに親の足元で育つ植物。
それでもやっぱり違うのだ。
落ちたところで元気いっぱい育ってほしい。
しかし、あまりに多すぎるので、一部を違う鉢に移してみる。
移った子たちは成長が早い。
新しい土は環境がいいのか、はたまた広いので根が伸ばせるのか。
鉢の置き場で、葉の大きさが変わってくる。
暖かいところの方が元気である。
ちょっとずつ変化する子供たち。
それぞれの環境にあった姿になっていく。
そして、茎が太くなり、親になっていく。
この繰り返しで、この世界で生き延びている。
もしかすると種からの子供もいるかもしれない。
花が咲くまで待ってみたい。
人間も一人ひとり違っていいのだ。
そう言い聞かせて日々を過ごす。