小さい頃の思い出のひとつに、よもぎ餅がある。
よもぎ餅。
これは母の手作りだった。
家族皆でよもぎの葉を取りに行くことから始まる。
よもぎの葉は香りが良くて、葉の裏に毛が。。。
など採取する際は間違わないよう教えてくれた。
また、きれいな場所にあるもので植物の上の方にある葉だけを少しいただく。
もぎ取った手によもぎの香りが漂う。
この記憶は香りの記憶として残っている。
採取してきてから、よもぎ餅になるまでの時間がこれまた長い。
よもぎのアクを取るために流水で一晩ほど。
もしかすると重曹などを使っていたのかもしれない。
そして、翌日には小豆からあんこを作り、すり鉢で蓬の葉をすりつぶす。
すりつぶせないような繊維や茎のようなところは取り除く。
アク抜きを失敗すると茶色く変色していたように記憶している。
すり潰したよもぎの葉を餅に練り込み、あんこを包むようにして出来上がり。
このよもぎ餅は格別においしかった。
あんこが苦手な私はあんこを極力少なくして、餅とよもぎを大量に食べていた。
懐かしいお菓子の一つである。
お店で買うお菓子ももちろん大好きだが、あの時間をかけて家族で作るよもぎ餅はいい思い出になっている。
今度挑戦してみよう。
暑すぎて気力が湧いてこない日々であるがまた季節になれば。
よもぎの旬は春だろうか???
よもぎ以外の自然の恵みの思い出はまだある。
椎の実だ。
大きな大きな公園の片隅にシイノキが大量にあった。
どんぐりなんて食べられないと思っていたが、親はこのどんぐりは美味しいと話してくれた。
小さな小さなどんぐり。
今思えはツブラジイというものかと思うが確かに美味しかった。
ツブラジイをフライパンに網目の蓋をつけ、炒ってみると香ばしい香りがただよう。
皮が少しはじけて剥きやすくなったところで味見。
アクもなく美味しい。
あっという間に自然の恵みをいただく。
栗とも違った自然の味。
小学生になると大きな公園にもいかなくなり、椎の実取りもしなくなった。
そして、椎の実の存在も忘れていった。
仕事でツブラジイの木に出会った時はびっくりした。
これはあの時のどんぐりじゃないか!!!
誰も食べていない。
今はどんぐりを採るのも何かと大変。
この公園は自然採取駄目、山はもちろん駄目。
仕方ない。全部採ってしまってはなくなってしまう。
絶滅の危機にひんしている植物や動物もたくさんだ。
でも自然に親しまなければ、もっと自然の少ない地球になっていきそうだ。
久々に椎の実が食べてみたい。
店には売っていない。
さて、今年の秋は椎の実を採取させてもらえるところを探そう。