いちごの一人旅(童話)

真っ赤ないちごは出かけることにした。

家から一歩でたところで、小さな石ころをひろった。

足元にあった少し光る小さな石。

思わず手にとってポケットに入れた。

一緒に旅にでよう!

石をのけたところに、ありがいた。

石がなくなってびっくりしているようだ。

ごめんごめんっていいながら歩いていくよ。

しかし暑いなぁ。

いちごは暑さに弱いのだ。

そうだ、木陰で休もう!

木の下でのんびり休んでいると、コゲラがやってきた。

「いちごさん、だいじょうぶですか?」

「どこまで行くのですか?」

いちごはまだ行き先を決めていなかった。

コゲラは好きなところまで運んであげるという。

コゲラに食べられてしまうのではって心配したけど、思い切ってお願いすることにした。

向かったのは木の上。

いちごは はじめて木の上にすわった。

コゲラくん、ありがとう」

「こんなに世界が広がっているなんて!」

いちごは広い世界に感動した。

コゲラは晩ごはんを探しに出かけていった。

一人になったいちご。

次はどこに行こう!

風がきつくて体が冷えてきたよ。

なんとか下に降りたいよ。

そこで、下を見ると電車が通っている。

そうだ、あれに乗せてもらおう。

うまく飛び乗ったけど、電車ってこんなに揺れるの?

いちごはつぶれてしまいそうだ。

ちょっと酔ったりもした。


思い切って畑に飛び降りた。

畑に落ちるとアリにであった。

アリはいちごの家はあっちだよって教えてくれた。

そうだ、今日はここで休んで明日は家に帰ろう。

アリさんありがとう。

「どういたしまして、石をのけてくれたお礼だよ」

いちごはびっくりした。

旅のはじめに出会ったアリさんだったのだ。

こんなところで出会うなんて。

いちごはほっとしながら葉かげで眠った。

もう、何日眠ったのだろう。

いちごはなかなか起きなかった。

太陽がやけにまぶしい。

やっと目がさめたのだ。

でもいつもの体がない。

ぼくは小さな小さないちごの芽になって土からでていた。

あの赤くて柔らかくて甘い体はもうない。

でも、赤ちゃんからスタートだ。

次の日には大きめの葉がでてきた。

アリがやってきて、今度はこちらがお家ですかって笑ってる。

そうなんだ、ぼくは生まれ変わって、今日からはここが家だよ!

コゲラがやってきた。

ステキなところが見つかったねって言ってくれた。

当分旅にでれないけれど、ふかふかの土に眩しい太陽。

確かにステキだ。

コゲラくんはまた、大きくなったら木の上に連れて行ってくれるらしい。

耳をすますと電車の音がする。

きっとあの電車も通っているのだろう。

ぼくが乗ったあの電車。

たくさんの人を乗せて走るあの電車。

ぼくの側には石がある。

そう、旅の始めにであったちょっと光る石。

ずっと友だち。

石は何もいわずに側にいた。

ぼくは空をながめた。

少し眠ろう。

大きくなったら次はどこへ旅にでようか。

そんなことを考えながら大人になることを夢みて。