影響を受けた衝撃の先輩

学生時代に一風変わった先輩に出会った。

変わったというと失礼なのかもしれないが、私の中では今までに出会ったことがないような方だった。

まずは髪型。

男性であったが、超長髪。

それも後ろだけ非常に長くて結んでいる。

この見た目にまずパンチを食らう。

でも、髪型は自由だし、男性が短くしなければならないと決めつけるのもおかしい。

なのに自分の中で偏見があったのだろう。

なぜかパンチを食らったのだ。


次に机。

皆で過ごす学習部屋に一人ずつ机があったのだが、その机が一人だけカオス。

CDやCD-R、その他あれこれを積み重ね、デスクトップの前を塞いでいる。

それは他人がさわれば崩れ落ちる可能性大。

デスクトップの前は20cm幅程隙間があり、その隙間からPCの黒画面に何やら入力している。

足元は椅子が入らないほどケーブルやらPC関連用品と思われるものがダンボールに入れられて置かれている。


その先輩は大学生を経て大学院生になり、学生生活合計8年目に突入したところだった。

アニメが大好きで、アニメを書いている人も好きとのこと。

休みの日は部屋に籠もってアニメ動画を見るのが好きだと公言していた。

掃除が苦手なことはひと目でわかった。

しかし、後輩たちがあれを貸してくださいと頼みに来ると

うず高く積まれた山から一枚のCD-Rを取り出して、はいっと。

すごい、1000枚以上あるだろっっっ。もっとか。。。

何がどこにあるのか、記憶しているのかもしれない。

そして、その山を誰かが触ると気づかれていた。

今思えば、整理整頓しなくてもものはなくならないのかもしれない。

あの山は時系列なのか、ジャンル別なのか。

きっと時系列だ。

時系列で記憶を掘り出し、物を掘り当てる。

そんな感じなのかもしれない。


その先輩はPCに詳しく、後輩のPCを買う相談にのっていた。

もうPCをアドバイザーのようであった。

もちろん自分もPCを買う必要があったので、先輩に聞いてみる。

PCはデスクトップがいいのかノートパソコンがいいのか。

予算、PCに求めること。

フロッピーディスクにMOにDVD、DVD-Rなどなど教えてもらい

おすすめされたのがIBMThinkPadのノートパソコンだった。

持ち運びしやすい仕様でDVDもみれるタイプ。

その頃のPCは異常に値段が高く、バイトをしながら購入にたどり着いた。


ある日、先輩の机の前の山がなくなり、PCが分解されていた。

よく見るとドライバーであれこれやって何やら後付けしている。

どうもPCをグレードアップさせているようであった。

こんなこともできるのかと目からウロコであった。


ノートパソコンは買うと高いから入門編としてはいいが、2台目は組み立てるといいと勧められた。

ほぉーーーーーーーPCを組み立てる!!!!

そんなことができるのか。

ノートパソコン30万円。デスクトップ20万円。組み立てると15万円以下。

一番早くて性能がいいのは組み立て。

もちろんお金をだせばいくらでも性能のいい商品はあるのだが。

なるほど安くていい商品を組み立てて使う。

すごい人に出会った。

その後、みんな用に一台PCを組み立ててもらった。

メモリがどうで、速度が、カラー、CPU、箱、サーバーはと、よくわからないままに進んだが。

しかし、出来上がりは快適であった。

不具合が出れば開けて直してくれ、たまにグレードアップする。

すごい衝撃だった。


みんなで鍋パーティーをすることになり、先輩がDVDかLDを見ようと誘ってくれた。

LD?レーザーディスク。あの図書館で借りて、図書館で見るもの。

これも自分の偏見だった。

家に機械があるらしい。家にLDがある人もいる。

そして、家にはカラーコピー機もあった。

こっちの方が驚いた。

カラーコピー機が部屋の一部に鎮座している。

同人誌などを作るのに、必要でこれを100万円で買ったと。

ほおぉーーーーーー。どう見ても業務用だ、もう会社じゃないかここは!

家で仲間と漫画など同人誌を増産し売りにいくらしい。

コミケコミケなのか?

20年以上前のことだが、そのころからコミケ&同人誌は盛り上がっていたのかもしれない。

家にはかなりの漫画やDVDがあった。

あんなに漫画を読んでDVDを見ていれば、次は作りたくなるのもわかる。

いや、作れるはずだ。

漫画などは一部でまだ実家に山ほどあるとのことだった。

皆で先輩のパワーに驚きながら、楽しく過ごした。


先輩はついに8年目の大学生に突入した。

もう30歳手前。

でも焦る様子はない。

数社就職先はいくつか候補があると言っていた。

大手の電力会社とPCを絡めた研究をやっている。

きっと就職先はあの大手電力会社だろうと皆が想像していた。

その電力会社からも実際に就職試験受けませんかと声をかけられていた。

しかし、大手数社と公務員を迷っていると。

おぉぉぉぉ、公務員ですか。

一番遠い存在に思えるが、安定を求めているらしい。

なぜなら好きなことをして生きたいから。

なるほど公務員で働きつつ、趣味も極めたい。


学生の8年目は過ぎ去り、ついに学生生活の終わりが来た。

先輩は実家に戻り公務員になった。

コミケの話が盛り上がる時、この先輩を思い出す。

今は何を描いているのか。

あるいはどんなPCを組み立てているのか。

いや想像もできないものを作っていそうだ。

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