お隣さんにバングラディッシュの家族が引っ越してきた話。
明日からここに住むことになりましたと挨拶に来てくださった。
私達はバングラディシュから来ました。
日本での言葉は英語が主です。
日本語ほぼ話せない。
そんなこんなでお隣がバングラディッシュの家族となった。
お子様二人にご夫婦。
こんにちは、こんばんは、いってきます、寒いですね。
これらの会話のみ。
会釈のみの日々が続いた。
我々家族はもちろん英語でうまく話しかけることもできぬ日々。
数カ月が過ぎたある日、子供(Dくん)の誕生日パーティをするので来てくださいとお誘い。
英語と日本語で書かれている招待状をいただいた。
場所は近所の集会所。
持ってくるものはスリッパのみ。
ほぉーーーーー。
バングラディッシュの誕生日パーティ!!!!
面白そう。
日本での誕生日パーティーもそんなに参加したことないけど参加で申し込む。
いよいよ誕生日パーティーの日。
集会所にはたくさんの人。
おめでとう!!!Dくん!!!
するとありがとう!!!と日本語で返ってくる。
来日数カ月で子供5歳は日本語を少しマスターしている!
Dくんのお母さんと友達で作った料理がそれはそれはたくさんテーブルに並んでいる。
すごい量じゃないか。
そこにゾクゾクと集まる人々。
日本人が3割くらい。
それ以外は超国際的。
どなたがどこの方かわからない。
Dくんのお父さんが京大で研究しているので、学生もたくさん。
そしていよいよパーティー開始!!
Dくんはちょっとおめかししている。
ぬぬぬ、頭に白い三角の飾り物。
これは誕生日の人がするのかな?
おでこのちょうど真ん中に三角の白い布のような飾り。
これが、これが、昔話に出てくる幽霊に見える。
ごめんDくん。
しかし、ここはそんなこと気にしてはダメ。
文化の違い。文化の違いだよ。
これがきっと誕生日の人のマーク。
お祝いのマークなのだ。
でも何度見ても、気になる私。
そっと周りを見ても誰も気にしていない模様。
そら、7割が海外の方ならそうだわ。
お料理の説明を学生さんが訳して説明してくれる。
ありがとう。
日本のあれと似てますね。
美味しいですね。
スパイスが効いてますね。
辛くないですね。
などなど楽しい時間がすぎる。
そこで、一緒に行っていた私の親がDくんの頭の飾りについて尋ねる。
おぉ勇気ある質問。
あれは伝統的な飾りですか?
すると学生さんが訳してくれて、Dくんのお母さんがそうです。
こどもの誕生日のお祝いではこうしますと。
おでこの前の飾りは目立つし、小さな三角は王冠のようにもみえる。
なんだかかわいい。
文化の違いはあれど、あれは主役のマーク。
日本でも鉢巻したり、お風呂に浸かったり海外にはない文化もたくさんのはず。
Dくんは嬉しそうに誕生日席ではしゃいでいる。
豪勢な誕生日パーティーだった。
近所の人も、職場の人も友達も家族関連もたくさん訪れている模様。
お料理は手作りのものがたくさん。
料理から会話がはずむ国際交流。
Dくんのお母さんは辛くない料理をたくさん勧めてくれた。
歌も英語の歌、日本のハッピーバースデー、バングラディシュの歌とたくさん聞けた。
人の誕生日パーティがこんなに印象に残るのは初めてだった。
あの頭の飾りとともに私の記憶にとどまった。
お土産にバングラディシュの伝統的なお菓子をいただいた。
ドーナツのようにあげた丸いお菓子にシロップがかけられているものだった。
そのお菓子が甘くて、懐かしくて、そしてほんのりスパイスが。
あのスパイスはシナモンだった気がする。
沖縄のあのお菓子にも似ていた。
家に帰ってからもこのお菓子を食べながら他国の文化について話した。
また、海外で住むことの大変さ、海外でパーティなどできるだろうか?
バングラディッシュのお菓子を囲んで家族の団らんは盛り上がった。
その後、Dくんは小学生になった。
日本語がどんどんうまくなり、英語は聞けなくなった。
地域の連絡をしにいくと、必ずDくんがお母さんと出てきて対応していた。
Dくんが日本語を聞き取り、お母さんに判断を仰ぐ。
その後、お母さんの思いをDくんが伝えてくれる。
そんな日々が続いた。
Dくんはまた別の国へ行くかもしれないと聞いた。
その後、こちらが引っ越したので不明だが、きっとバイリンガルの素敵な人になっていそう。
他国に住んでも、自分たち流にパーティができるのは素敵だと感じた。
日本の良さをもっと知りたい。
そして、もっと日本の良さを楽しみたい。