いちごのつぶやき

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予防接種で泣き叫ぶ

近所にある小さな小児科医院に予防接種にいった。
なんとなく不穏な空気を感じで歩かない子供。
着くと、すでにあふれかえる患者達。
人の多さに圧倒されて、しんどそうな子供。
かなり不機嫌にある。

そこに、先に来ていた一人の女の子が泣き叫んでいる。
あの子も予防接種だろうか。
5歳くらいの女の子で、もう注射がいやなものと、はっきり分かる年齢のよう。
いつもなら環境の変化や大きな泣き声に耐えきれず泣く我が子だが、今回はダンマリ。
無口のまま、動揺はしているよう。
あまりにひどく泣いているあの子に圧倒されているのかもしれない。

泣き叫んでいる女の子のお母さんはあきらめている。
もう、泣き止ますことをあきらめている。
女の子は、お姉さんとお母さんで来院していた。
女の子は椅子から落ちて、お母さんの足元で暴れながら泣いている。
お母さんとお姉さんは困ったような表情。

混雑した医院に泣き叫ぶ声が響く。
大丈夫だよ。
すぐ終わるよ。
って声をかけたい。
でも、そんなことできなかった。
だって、嫌なものはいやなんだろう。
待っているところが離れていてよかった。
気の利いた言葉がかけられないから。
泣き止ますような、うまい言葉なんて、思い浮かばない。

まわりも見守っている。
お母さんの側に座っている年配の方がニコニコして女の子を見つめている。
女の子はたまに、年配の方を見て声を少しやわらげるものの、ダメみたい。
泣き止まない。

とうとう女の子の番だ。
診察室に吸い込まれていく、家族。
一瞬静かになった。
院内は静まり返った。
数分後、診察室から、大きな泣き声が再び聞こえだした。
今度はさらに怒ったように叫んでいる。

なんだろう。
注射だろうか。
しんどいのかもしれない。
病院はつらい。
待ち時間もつらい。
人もあふれている。
マスクで人の表情もわかりにくい。
こわい。
きつい。

女の子のお母さんは辛そうにずっと下を向いていた。
その後、そっとお金を払って帰っていった。
帰りに美味しいものでも買って帰ろう。
家でゆっくりしよう。
そう念じながら見送った。

泣き出したら止まらないのは同じ時がある。
周りが気になるけど、どうにもならない時もある。
気をそらして泣き止ましたいけど、なかなかできない。
そういう時が多々ある。

ついに自分の番がきた。
予防注射できつく泣くだろう。
エビのように反り返り、嫌がるだろうと覚悟していた。
しかし、口を真一文字に結び、ぐっと耐えた。
目にうっすら涙をためつつ
耐えた。
へっ???

泣かなかった。
珍しい、というか初めてのことだ。
こちらは拍子抜けした。
一気に汗が冷えて、寒く感じた。

注射の後に好きなお菓子をひとつ買って帰るという約束を忘れて、家に着いてしまった。
どちらかというと、よく泣く子が予防注射に耐えたのは、あの女の子のおかげかもしれない。
そんなことを考えていたら、帰りに買うお菓子のことはすっかり忘れてしまっていた。

泣くことは成長している証。
これを信じつつ、泣き止むアイテムを一つでも探しておこう。