消火器詐欺で勉強する

マネースクエア

母親が消火器詐欺にあった。

もう何年も前のことだが、昨日だまされたように記憶しているようだ。

あの消火器詐欺は平日のお昼前に起こった。

人のよさそうなおじさんがチャイムを押して

「消防署の方から来ました。お宅は消火器を持っていますか?」

「ないです。」

「ない?法律で消化器の設置が義務付けられているので、置いてください。」

「え?法律?」

「はい、そう決まったのです。何かあると人様に迷惑かかりますよ〜」

「おいくらですか?」

「12000円です。」

「では、一つ。」

こうやってあっという間に消火器が1本我が家のものになった。

 

ある日、母は近所の友達と話している時に、これが詐欺だと気づいた。

「うちにも消化器やさん来たよ。でも断った。」

「断ったの?」

「断ったよ。法律なんてないと消防署の人が言ってるから。」

「えっ?法律できたのではなくて?」

「個人に設置義務はないみたい。」

「え?」

「飲食店とかガソリンスタンドとか設置を義務付けられているところはあるみたい。」

「あぁ。うちは買ってしまった。」

こんなやりとりだったようだ。

 

そこで、母は家に戻るなり市役所に相談。

日にちが経っていたので、クーリングオフは使えないと。

まずは消化器が本物かどうか調べてくださいと。

そして、消火器が本物かどうか調べてもらうと、本物だった。

だから、家に置いておくことになった。

本物なら少し高い代物だけど、使う時があるかもしれない。

咄嗟の火事の被害を最小限に抑えることができるかもしれない。

 

母は大きな消火器を家のよく見えるところに鎮座させた。

ことあるごとに、訪問販売には気をつけないとと消火器を見ては言い聞かせていた。

子供にも耳にタコができるほど詐欺は当たり前にやってくると言っていた。

 

その後、何回か消化器を使える状態に交換しながらも、ずっと家に鎮座していた。

外側の金属が朽ちるまで鎮座し、その後、引き取ってもらった消火器。

今のようにSNSもインターネットもない時代、訪問販売のような詐欺が多かったと話していた。

その後、訪問販売では絶対買わない人になった。

オレオレ詐欺にも怖いぐらい気を付けていた。

 

いつの時代も詐欺はあるのだ。

また、違ったものが出てくるだろう。

いつも、迷った時はあの消火器の話を思い出している。

消防署の方から来たは、消防署の人ではない。

ただ消防署の方角から来た、ただの人だ。

そして、法律で決まっているという文句については自分で確かめてから。

あるいはプロに聞いてから。

今ならネットで確認もできる。

 

私は何度か変な請求をされたことがある。

訪問販売ではないが、郵送で中央法律事務所からの手紙を受け取った。

何やら有料サイトを使っているので、下の電話にかけろというもの。

住所などの個人情報は当たり前のように流出するものだ。

携帯電話にかかってきたこともある。

だから、知らない電話番号にはでないようになった。

詐欺は数年に一度くらい、形を変えながらやってくる。

 

これからも、いろんなものに出くわすだろう。

いつもあの1本の消火器を思い出す。

人はあっという間にだまされる。

法律に弱く、決まっているという文句に弱い。

自分は大丈夫と思うとだまされる。

だまされたと思っていない間にだまされる。

 

人のお金は泡銭だ。

騙しても騙しても足りないだろう。

もう消火器詐欺はないかもしれない。

ただ、年度末の忙しい時期、コロナウイルスでいろんな噂が飛び交う時期、皆の気持ちがざわつく。

こんな時期には新しい詐欺が生まれるのかもしれない。

コロナウイルスのパニックを肌身で感じながら、もう何年も前の詐欺を思い出した話でした。

 

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