いちごのつぶやき

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ありがとうNICU、MFICU

妊娠7ヶ月くらいのときだろうか、妊娠高血圧症候群になった。

今まで血圧は高くなったことがなかった。血圧に関しては健康であった。

しかし、妊娠時の血圧は別物らしい。

それでなくても体が重くて、だるくて大変な妊婦。

自分の体のことだし、この高血圧とやらにも向きあわなければなるまい。

ある日の検診時。

何度血圧を測っても高い。もう一度測って下さいと言われて測ること数回。数値は140を超えて変わらない。

これはやばいといった感じで看護師さんが怒っている。焦っている。

私はことの重大さにまだ気づいていなくて、このぐらいの数値ならギリギリセーフでは?と、のんきに構えていた。

最後に、もう一度測ってもやはり高い。

次回の検診でも高いと医師より話がありますと言われる。

ここから数日は自分の体の重さを抱えながら、急に血圧という病気に向きあい、インターネットで情報を貪りながら過ごした。

妊婦の高血圧は大変な病気のようだ。妊娠を途中で諦めなければならないこともある怖い病気。


そして、迎えた次回の検診。

私の血圧は見事にぶっちぎって高くなった。

そして尿タンパクもプラス。

気をつけていた塩分控えめの食事とか適度な運動は、血圧を下げることに効いていないようであった。

そして医者より、重大な話が、この病院では産めませんということ。

NICUやMFICUという集中治療室がある別の大病院へ行って下さいということ。

大病院のほうが設備や体制が整っている。

今からこの体で病院変更ですか!?大変なこと、やるべきことが重なり、へとへとになり、さらに血圧が上がっていく。

でも、ここでめげるわけにはいかなかった。


家に落ち着いて帰り、病院の変更のための手続きや準備をするしかなかった。

歩いて10分の医院から車で30分の大病院へ。電車なら1時間くらいかかる場所。

そして、大病院の1回目の検診時に危険があると怖いので入院してくださいと告げられた。

この大病院であと数カ月、検診に通いながら出産へと思っていたが、予想を超えていきなり入院。

びっくり。想像は想像でしかない。これが現実。

もう、悩んでいる暇はない、スリッパに洗面器、いろいろ買い出して、スマホに充電器を持って即入院となった。


入院するとなぜかホッとした。

もう何もしなくていいのだ。あれこれしてはいけないのだ。

夏の暑さに晒されない病院。

何故かいろいろなことから開放されていく。

そして、何かあったらここで助けてもらえるのだ。

入院生活は減塩食をいただきながら、ひたすら安静。

何もしない時間が続く。

いろいろ悩んでも仕方ない、今できることをやるしかない。

入院中に気持ちも体も元気を少し取り戻したように思う。


しかし、血圧は下がることはなく、薬や点滴でなんとか落ち着いているといった感じだった。

入院中は頭が痛くなったり、点滴をつないだままの不自由な日々。

出産への不安も大きかった。

その時に支えられたのが、看護師、助産師、医師、薬剤師、医療関係者の皆さんであった。

看護師さんは毎朝血圧を測ってくれ、血圧の高さによって薬を運んでくださった。

きつい薬なのか常備せずに、必ず測定してから数値を確かめ、薬を医師に確認してから持ってきてくれた。

そして、しっかり飲むのを見届けてから次の仕事に取り掛かるという流れであった。


一人一人違う妊婦の症状。

前置胎盤胎盤剥離、高血圧症候群、三つ子出産、その他もあったように思う。

一人一人にあった処置を間違わずにやっていくだけでも大変。

そして、どんなに手を尽くしても急変することもある。

私の場合は血圧が安定するように点滴を行った。

点滴に常時つながれていることから、お風呂が大変であった。

お風呂のたびに、点滴の針を残して外し、針が水に濡れないようにビニールをかける。

針がついたままのシャワーってすごい経験。

そして風呂から上がると点滴につなぐということを看護師さんがやってくれた。

針の交換や点滴液の交換、追加も頻繁にみてくださった看護師さん。

私の場合は1ヶ月の入院であったが4ヶ月以上入院している方もおられた。

また、お風呂やシャワーができない場合は体を拭いてくれた。

これも看護師さん。

服を整え、タオルを整え、体を石鹸でぬ拭い、ぬるま湯で流し、きれいにしていただいた。

そんなこんなで入院すること3週間。


なんとか37週を超えた時に、医師より

もう生みましょう!と言われた。

予定日より3週間ほど早いけど、大きくなりたい赤ちゃんを出して上げましょうとのこと。

想像とか予定通りにはいかないは経験済み。

だから、出産も人それぞれでいいのだ。

あれよあれよと進行していった。

その後、なんとか出産した。


そして、出産後が何よりハードだった。

自分のことだけ気にしていた日々から一転、今度は赤ちゃんのことがあるではないか。

眠い、きつい、フラフラする。

普通に歩けない、あちこち痛い。

一人なら完全に折れていた。

そこで助けられたのがNICU

ここは赤ちゃんの集中治療室。

厳戒態勢で育児のスペシャリストがいるところ。

24時間体制、すごい機械がたくさんあり、空気がきれいで、限られた人しか入れない。

すべての看護師、医師、関係者が団結して医師や親となる感じ。

頭があがらない。

ここに子供を預けたまま、自分だけ先に退院することとなった。

血圧は高いまま、薬を飲みながら、安静にしながら家にいることになった。

というのは表向き。

車で30分、毎日病院に母乳を届ける。

真夏の炎天下に、保冷バックに保冷剤を入れて、母乳を専用の袋に入れて届ける。

少しでも溶けた母乳はボツ。

もう、自分の血圧とか言ってられない感じ。

家で血圧を毎日測定し、自分の検診を受けながら病院へ。もちろん血圧は高めといより、高い。

体もヤバそう。

でも、NICUにいるおかげで、子供は少しずつ大きくなる。

だから、毎日なんとか届けた。

いや、眠すぎてまる一日寝ていて、NICUから電話をもらったことも。

スミマセン。スミマセン、今から母乳届けます。

乳母のシステムも必要だよなと納得。

皆で協力しないと私には無理だった。


だから、NICUありがとう。

そして、自分が入院したMFICUありがとう。

今があるのはこの場所のおかげ。

人は生まれたときから、人に支えられて生きている。

退院後も病院通いは続いた。

血圧の測定、血液の検査、尿検査。

他の病気がないか検査しつつ、血圧が下がるように薬をもらう。

しかし、子育てしながら、通院するのはなかなかハードで一向に血圧は下がらなかった。

通院したり、お風呂にはいると血圧がきつく上がる。

薬のせいか咳がひどく出るし、抜け毛もひどい。心臓もどきどきする気がする。

何度も何度も通院し、自分の血圧と向き合った。

その間も生活改善を試みた。

お酒はもちろん飲まず。

塩分を控えた献立にする。野菜を食べる。脂分を控える。

しかしすぐには血圧は下がらなかった。

いつもはすんなりできていた家事が倍くらいの時間、いやもっと何倍もの時間がかかる。

血圧のためか産後のためかわからないが、疲労感も強かった。

血圧が高くなっていそうだと感じて測るとやはり高い。

毎日薬を飲みながら様子をみた。


投薬をやめるわけにいかず、血圧がさがるのを待った。

毎日薬を飲むことに慣れていない私は疲弊していた。



出産後8ヶ月以上たったとき、ようやく血圧が下がり始めた。

体も少し動くようになった。

運動することも、快適になった。

産後1ヶ月のケアというのは私の場合8ヶ月ほど必要だったようだ。

ようやく血圧をはかることが苦にならなくなった。

よかったのはよかったが、よかったとは簡単には思わないほどの経験をした。


子育てや体調が辛くなりそうな時はMFICUとNICUを思い出して暮らしている。

今日も助けられた日々を忘れずに

皆様に感謝を忘れずに。