ブランド紙袋とエステ

学生時代の友達に久々に会う

九州から京都に遥々遊びに来てくれたのだ。

それも友達を連れてくるとのことで、友達の友達という新しい出会いもプラス

久々に会うし、気が合うし、懐かしい話が尽きない。笑い話も尽きない。

そして、美味しいスィーツを堪能

オシャレに気合をいれて浮かれ気分で街中を歩く

そんなに慣れていない京都をなんとか案内

歩き疲れ、食べ疲れた。

まだまだ話せそうだけど、またの機会に!!!!


帰り際には多くのお土産をいただいた。

そのお土産は高級ブランドの袋に入っている。

それから高そうなブティックというか服屋の紙袋

そして、伊勢丹とか。

何袋あるの?

九州のあれこれ詰めてきたよと友達。

ありがとう。ありがとう。

こんなにお土産ありがとう

なぜに高級店の紙袋?

流行りだよ〜ギャップもいいでしょって。

知らなかった

でも気分はいい

なんだかリッチになった気分で、紙袋を数点持って、京都駅を横切り

端っこにあるローカル線のホームへ向かう

映画のワンシーンのようには行かないけれど

今日はいい日だ!

帰って土産話を家族にしよう〜。

そして、楽しかった日をもう一度かみしめよう

楽しい夕飯を想像しながら帰路へはずむ足どり。

そんな私に声をかけて来るキレイな人!!!!



今、少しお時間ありますか?

うーん、なんだか怪しいけどキレイな人

お帰りですか?

なんで分かるのですか?(心の声)

あの、少しお時間いいですか、今、顔のエステのキャンペーンをやっていて

普段なら1万円のエステが500円、ワンコインでお試しできます。

お時間あればぜひこの機会にやってください。

え?

どこでですか?

この駅ビルですよ

すぐそこです。

足がそちらに向かいそうになる。

スーッと駅ビルの片隅に向かって

いや、向かっていいのか。

あんなに明るい駅ビルの片隅。そして、細くて暗い通路つながる。

こんな大きなビルにこんなところがと

キャロキョロする自分

着きました!

おカバンおいていただいて、アンケートにお応えください。

ご希望にそったコースがありますから。

何やら思わずついてきた私のような人で溢れている。

皆、きれいな人と対面で顔の乾燥やら荒れ具合について相談している模様

もう、わけがわからない。

私、そんなに顔にこだわってないはずなのに

なぜここにいる?

エステとか希望してる?

ホームエステならぬ家でのケアもままならぬ人ではないか。

エステならポストに1000円お試しとかのチラシが度々入っているのに

捨てていたり(ごめんなさい)じゃないか

でも、なぜか今は顔のエステのためにここにいる

薄暗がりの部屋に高級なシャンデリア

そして、良い香り

眠い。なんだかこの暗さと香りにほっこりして眠くなる

ほんとうに500円でこんなところできるはずがない

50000円の間違い?

いや50万円かもしれない。

なぜお金を持ってない私がここに?

もしかして。もしかして、紙袋?

このフェンディとかあれこれ高そうな紙袋?

これが私をここへ導いた。

いや、でもどうみても身なりが、、、、持ってないよ。お金持ってないよ。

学生あがりの社会人1年目で、奨学金を返すために遊ぶことも控えて

質素に暮らす社会人だよ。

たまたまのブランド袋だよ。

よーく話を聞く。

今回は500円で顔のエステができますと。

でもでも、次回からは8000円とか10000円とかのコース。

それが20回とか。

詰む。このペースでエステに行けばお金が詰んで、奨学金の返済ができないし、

いつまでたっても一人暮らしまでいかないぞ

顔だけきれいになって

お金がなくなる

そして、お金を貯めての海外旅行もなくなる。

そんな未来がみえた。

ごめんなさい

思わず発した一言

そこで、エステシャンの方なのか、営業の方がこちらを見て一言。

時間ないですか?

ごめんなさい

時間がではなく、お金が続かなさそうなので、今回はやめときます。

また、来れそうなら自分できます

すみません。

はい、では次の方がお待ちですので。

その一言で案内してくれた人は去っていった。

暗がりなので、もうどこにもいない。

気づけばガヤガヤ人が出入りしている薄暗がりの細長い店。

奥ではエステやっているのだろう。

もう、帰っていいのね。

そう、帰ろう。

とりあえず忘れ物だけ絶対ダメ!そして、帰ろう。

駅ビルだから大丈夫。

でも

まずここどこ?

どうでるの?どうやってここまできた?

とりあえず薄暗がりの通路を通って人通りの多そうな方へ、多そうな方へ

ぽんんっとでる駅ビルの改札

現実の世界に戻ってきた。生きた心地がした。

人々が顔を見ずに行き交う世界。

これが私の現実の世界。

この大勢の中で、なぜか私がエステに誘われ、お金が続かないと感じて

慌てて出てきたリアル世界。

エステの営業の人ごめん。

また、自分のタイミングではじめます。

お金があればエステに通うのかもしれない。

いや、お金がなくても美の追求はするかもしれない。

でも、まだ若すぎたのかもです。

ブランド袋は自分のお金のものではありませんゆえ。


無事に電車に乗り、田舎へ帰ってきた。

ブランド袋が浮いている。

どう考えてもこのブランド袋が私を何か違って見せたのかもしれない。

その後、何度も駅ビルに行くが、もうあのエステの人に出会うことはない。

でも、今日もどこかでエステをやってる人がいるのだろう。

今日もどこかで、このどでかい駅ビルの片隅に吸い込まれていく人がいるのだろう。